feb19

Nobuhiro Takahashi
Designer / Engineer

クラフトワークに煽られたのでドイツと日本の電気について調べてみた

クラフトワークに煽られたのでドイツと日本の電気について調べてみた

date
2024.7.30(Tue.)
tags
Column

ドイツのテクノアーティスト「クラフトワーク」がフジロック 2024 で披露したパフォーマンスが色々話題になった

クラフトワークのパフォーマンス

話題になったパフォーマンスは 1975 年にリリースされた作品「Radioactivity(放射能)」がチェルノブイリの事故を経て 1991 年問題提起の歌詞に変えた「The Mix (Deutsche Version)」をさらに 2012 年に坂本龍一氏の監修で日本語詞にしたもので、No Nukes Fes というフェスで披露していたものの再演らしい。

このタイミングでやった理由は No Nukes Fes 発起人の坂本龍一氏が昨年逝去されたものに対するものだとは思うが、No Nukes Fes という場でやるのとは違いフジロックという場で披露されたため、日本人のアレルギーを刺激したのが色々話題になった原因なのかなと思う。

自分も Radiohead やレッチリ、電気グルーヴ、POLYSICS そして坂本龍一らを通して間接的にクラフトワークを支持していたので衝撃的なパフォーマンスだなと思った。まぁでも今も支持したいです。もっと違った表現ができたんじゃないかとは思うが。

それにしても実際、原子力なしに、そもそも私たちやっていけんのみたいなのは気にはなって、クラフトワークの出身で脱原発を一応実現したとされるドイツと、日本の電力事情みたいなのをざっくり調べてみた。

ドイツの電力事情

  • 2024 年現在、ドイツは再生可能エネルギーが主な電力の供給源になっている
  • 2023 年に原子力発電を無くし、化石燃料発電も減らしている
  • 2011 年東日本大震災の原発リスクを受けて原子力発電所の撤廃を目指し 2023 年に脱原発を実現 https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65296028

近年のドイツでの発電推移をロイターがまとめていた。

全体的に 2022 年から 2023 年、50kMWh ほど減り、さらに 10 or 20 kMWh 減っている。ただし、図はあくまで発電量で、電力需要ではなさそうだ。

ヨーロッパは送電線で各国が繋がっているので、電気の輸出入が直接可能。日本は電気の輸出入は行なっていない(なので電力にする化石燃料を輸入している)。

ドイツはかつて電力輸出が多かったが、2024 年現在はフランスやデンマークなど周辺諸国からの輸入が多いことがわかる。

フランスは原子力発電で 7 割ほどのシェアがあり、それを輸出している。

ロイターの図に上記の Energy-Charts の輸入の値を加えると全体の電力需要はそこまで変化がなさそう。結果としてはまだドイツは原子力に頼っているとも言えそうで、「ドイツが脱原発」はややミスリードな気もしてきた。

脱電気

人類は脱原発が可能なんだろうか。脱電気すればできそうだけど。

例えば、この人みたいにうまく国民が節約することで脱電気からの脱原発ができそうだ。

夏場のドイツは日が長いので、我が家は夜の20時から寝る前の23時までしかリビングの電気は使いません。
日本と比べると、かなり電気を節約しながら生活をしていると思います。
https://note.com/oddy_note/n/n5b8fe42093f4

ドイツは日本に比べて電気代が 2 倍高いとのことで、上記の記事では 2023 年の図を使っているので一応ドイツの電気代を調べたところ、2023 年が一番高かったみたい。

税金や輸出入とか色々あってやや高騰しているようだ。

それにしても節約か〜電気の使わない生活を目指せるだろうか?

一時的には節約で凌げるだろうが、世界的には電気自動車、生成 AI 、産業の DX など電気需要が高まるトレンドにある気がする。

日本の電気需要

日本の電気需要も増えていくのかな?と思ったところ、どうやらエネルギー消費量は減っているらしい。

日本は人口が減っているもんなと思ったらそれだけじゃなくて、経済産業省資源エネルギー庁の資料で、省エネ対策頑張ったら電力需要めちゃくちゃ下げられるという記載があった。

省エネってそんな効くの!?と思ったが平成 27 年(2015 年)時点に比べて大幅に削減されているのでカイゼンできるもんなんだなと思った。上記 PDF の 3 章がなかなかアツい。

また、2050 年に向けて途中までは原子力のサポートを得つつ再生可能エネルギーの構成比が高める試算が行われている。

上記はあくまで試算だが、なんとなく日本も脱原発・再生可能・代替エネルギーに向かっていくんだろうと思う。

まとめ

という感じでザルな感じの調査だけど、ビジョンとしては脱原発に世界は動いていて、そのために原発を使用している他国から送電という支援を受けながら先行するドイツと、支援が受けられない日本はあの手この手で色々改善をしている、という感じみたいだった。省エネって大事だなと思った。

というわけで日本のロックバンドは「省エネ」という歌を歌って対抗しましょう。

その他気になった記事色々

おまけ

ちなみに記事のサムネイルは先日公開した Figma Plugin で作った、我が家の電気料金のグラフです。戦々恐々としてきた。節約しよう。

著者: @feb19